博物館と聞くと、歴史資料や考古資料を展示している場所を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、博物館には、美術館、動物園、水族館、植物園なども含まれます。
博物館とは資料を集め、保管し、展示し、調査研究や教育普及を行う場所です。そこにあるものは、ただ「見るためのもの」ではありません。人間が何を大切にし、何を残し、何を次の時代へ伝えようとしてきたのかを知るための手がかりです。美術館にある作品は、ただ美しいものではありません。そこには、時代の価値観、社会のあり方、人間の願いや葛藤、技術や思想が表れています。作品を見ることは、美しさを味わうことであると同時に、人間や社会を知ることでもあります。
リベラルアーツとは、人が自由に考え、判断し、生きるための基礎教養です。知識を増やすだけではなく、自分で感じ、考え、選び、自分の言葉や行動につなげていくための学びです。博物館は、ある意味リベラルアーツの場だといえます。問いを持ち、見方を広げ、自分なりに考える経験があります。人が豊かに生きていく上で、大切な基礎教養なのです。
芸術教育と創造性や社会性の関係については、経済協力開発機構の報告書でも検討されています。ただし、芸術が何かの能力を一方的に高めると、単純に言い切ることはできません。だからこそ私は、絵画を「成果」だけでなく、「経験」として捉えることが大切だと考えています。
博物館は過去を保存するためだけの場所ではありません。そこには、今を生きる私たちが考えるための手がかりがあります。それは、人が自由に考え、判断し、生きるためのリベラルアーツにつながっているといえるでしょう。


